2026年6月
仕事のひとりごと職業病?──手・肘・肩、ぜんぶ痛めた話
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超音波(エコー)検査に携わって、何十年。ある日突然、それはやってきました。
はじまりは、親指の違和感
最初は、機械を持つ手の親指の違和感でした。それが徐々に痛みに変わっていく。テーピングでだましだまし、やり過ごしていました。痛んでいたのは母指CM関節、親指の付け根にある、手首に近いほうの関節です。
超音波の検査をしていると、いちばん最初に出るのは、たいていここだという気がします。プローブ(体に当てる機械)を握って、押しつけて、細かく角度を変える。その力が、親指の付け根に集まってくるからです。どんなふうに押しているかは、お腹のエコーで、なぜ押されるの?に書きました。
その手の痛み、メノポハンドかもしれません
手の痛みには、もうひとつ別の理由も重なります。
メノポハンドという言葉があります。2022年に日本手外科学会が名づけたもので、更年期の前後に出てくる手指の痛み・こわばり・しびれ・腫れ・変形を、まとめて呼ぶ言い方です。
女性ホルモン(エストロゲン)には、腱や腱鞘、関節を包む滑膜を守る働きがあります。それが急に減ると、これらが炎症を起こしやすくなる。つまり、同じ作業をしていても、以前より痛めやすくなっているということです。
ただし、メノポハンドは病名ではありません。症状のまとまりを指す言葉です。調べていくと、ばね指や手根管症候群、ドケルバン病、ヘバーデン結節といった、はっきりした病気が隠れていることもあります。長く続くなら、一度診てもらったほうがいいのは、そのためです。
次は、テニス肘
少し良くなったと思ったら、今度は肘の痛み。通称「テニス肘」、正式には上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん/lateral epicondylitis)と呼ばれるものです。
これが長く続いて、なんと一年半。さすがに整形外科にかかり、テニス肘バンド(サポーター)、湿布や薬、リハビリまでやりました。それでもなかなか治らず、ステロイド注射まで。「改善しなければ、多血小板血漿(PRP)や体外衝撃波療法も」と言われました。
一番の薬は「安静」「痛む動作をしないこと」だそうですが……仕事はそれを許してくれません。ところが、ある日突然、痛みがふっと和らいだのです。
肘バンドは、痛いところに巻きません
これは、意外と知られていないことだと思います。
▲ 巻くのは、肘そのものではなく、少し手首寄りです。
巻くのは、痛む骨の出っぱり(肘の外側。内側が痛む方は内側)から、手首側に少し下がったところ。前腕の筋肉が、いちばん太くなっているあたりです。
痛いところに巻きたくなりますが、そうではないのです。その少し下を圧迫することで、腱にかかる負担が分散される——そういう仕組みになっています。
▼ 私が使っていた肘バンドと手首サポーター
調子に乗ったら、今度は五十肩
人間、痛みがなくなると、すっかり忘れて調子に乗るものです。そんなある日、また突然。今度は五十肩(肩関節周囲炎/frozen shoulder)——しかも、両肩。
腕は上がるのですが、ある角度で動かすと、大人でも泣きたくなるほどの激痛が走る。洋服を着替えるだけでも、ピキッときて動けなくなる。これも一年くらいかかって、いつの間にか消えていきました。
「更年期」で片づけないで
親指の痛みに始まり、テニス肘、そして五十肩まで。これを全部「更年期だから」と"肩"づけられるのは、ちょっと納得がいきません(しゃれではなく…)。
もちろん、更年期の影響はあるのだと思います。手のことには、メノポハンドという名前までついたくらいですから。
それでも「更年期だから」で話が終わってしまうと、何十年も同じ姿勢で機械を握ってきた体のほうが、見えなくなってしまいます。たぶん、両方あるのです。
これはきっと職業病でもある。長年、体を張って検査してきたぶん、もう少し労わってほしかった——というのが、正直な心の声です。
その何十年のことは、石の上にも、3日。に書きました。
超音波の検査をする人の体のことは、学会の提言も交えて、超音波担当の検査技師の1日にも書きました。
でも今は、ウソのように痛みがありません。痛くないって、それだけで幸せだなぁと思います😀
こんなときは、我慢しないでください
- 痛みが何週間も続いている
- 夜、痛みで目が覚める
- 指や手がしびれる、力が入りにくい
- 関節が腫れている、形が変わってきた
- 左右の両方に、同じような症状が出ている
私の肘は、一年半かかりました。早くに行っていたら違ったのかは、分かりません。ただ、「そのうち治る」と思っているあいだに時間だけが過ぎたのは、本当です。
痛みで眠れない夜のことは、夜中の3時に目が覚める、これが更年期というやつかにも少し書きました。体の痛みと、眠れなさは、地続きのところがあります。
※この記事は、検査技師としての一般的な知識と自分の経験をまとめたものです。診断・治療の方針を示すものではありません。痛みやしびれが続くときは、必ず医療機関でご相談ください。

おひとりさま検査技師
臨床検査技師として病院に30年。生理検査全般を担当、とくに超音波検査(おもに心エコー)。地方在住・50代・おひとりさま。 検査室から見えることと、暮らしのことを書いています。詳しいプロフィール


