2026年5月
健康・検査のことアレルギー検査でスギがクラス6でした|MAST48の結果の見方を検査技師が解説
・MAST(マスト)は、1回の採血で30〜48種類のアレルギーの原因をまとめて調べる血液検査(私が受けた「MAST33」は、今は「MAST48」が主流です)。
・結果はクラス0〜6。数字が大きいほど反応が強い。ですが——
・いちばん大事:「検査で陽性」=「アレルギーがある」ではありません。とくに食べ物は、陽性でも問題なく食べられる人がたくさん。数字だけで自己判断して、食事から抜かないでください。
検査する側の私が、検査される側になった
病院で長年、検査をする側として働いてきました。採血された血液がどんな機械を通って、どんな数字になって返ってくるか——それを毎日、仕事として見ています。
その私が今回、自分のアレルギー検査(MAST33)を受けてみました。
そして、結果用紙を受け取って、思わず二度見しました。
スギ、クラス6。測定値200。
クラス6というのは、この検査の最大値です。ゲームでいう、カンスト。「これ以上は測れません」という数字が、自分の名前の横にしれっと印字されていました。毎年春がつらいのは、もう何十年も知っています。でも、まさか振り切れていたとは。我ながら、ちょっと笑ってしまいました。
そもそもMAST33って、どんな検査?
一度の採血で、33種類のアレルゲン(アレルギーの原因になる物質)に対する「IgE抗体」をまとめて調べられる検査です。スギやダニといった吸い込む系から、卵・牛乳・小麦などの食べ物系まで、幅広くカバーしています。
※私が受けた当時は「MAST33」でしたが、現在はより項目数の多い「MAST48」へ移行しているようです。基本的な考え方(クラスで陽性度を見る、「陽性=アレルギー」ではない、など)は同じです。
結果はクラス0〜6で出てきて、ざっくり言うとクラス2以上が「陽性」とされます。数字が大きいほど、その物質に対するIgE抗体をたくさん持っている、ということになります。
一回の採血でこれだけ一気にわかるのは、便利な検査です。便利なんですが——便利だからこそ、注意してほしいこともある。それは後でたっぷり書きます(ここが今日いちばん言いたいところ)。
クラス0〜6の見方(数値との対応表)
結果用紙には、クラスの数字(0〜6)と一緒に、測定値が印字されています。この2つの対応は決まっていて、次のようになっています。
| クラス | 測定値(ルミカウント) | 判定 |
|---|---|---|
| 0 | 0〜1.39 | 陰性 |
| 1 | 1.40〜2.77 | 疑陽性 |
| 2 | 2.78〜13.4 | 陽性 |
| 3 | 13.5〜58.0 | 陽性 |
| 4 | 58.1〜119 | 陽性 |
| 5 | 120〜159 | 陽性 |
| 6 | 160〜200 | 陽性 |
※MAST48mix・MAST36アレルゲンの判定基準です。検査を受けた施設や、検査を委託している会社によって表記が異なることがあります。手元の用紙に基準が書かれている場合は、そちらを優先してください。
では、自分の用紙で読んでみます。
スギは「(6)200」。測定値200は、この検査で出せる上限の数字です。クラス6の範囲は160〜200ですから、その一番上に張り付いている、ということになります。カンストと言いたくなるわけです。
コナヒョウヒダニは「(4)76.80」。クラス4は58.1〜119なので、ちょうど真ん中あたり。ハウスダストは「(3)34.50」で、クラス3の範囲(13.5〜58.0)の中ほどでした。
そして、いちばん見てほしいのが境目です。
私のヒノキは「(1)1.49」。クラス1の下限は1.40です。あと0.1ほど低ければ、ヒノキは「陰性」でした。
数字を扱う仕事をしていると、この「あとちょっと」を毎日のように見ます。境目のすぐ前後にいる数字は、次に測ったら反対側に行くこともある。クラス1が「疑陽性」という、はっきりしない名前で呼ばれているのは、そういうことなんだと思っています。
もうひとつ。クラス2の範囲は2.78〜13.4と、意外に広いんです。同じ「クラス2」でも、2.8の人と13の人では、持っているIgE抗体の量が4倍以上ちがう。クラスの数字だけを見ていると、この差は見えません。
だから、結果用紙に測定値が印字されているなら、クラスと一緒に、その数字も見てみてください。同じクラス2でも、上のほうにいるのか、境目ぎりぎりなのかで、印象はずいぶん変わります。
私の結果:陽性だったもの
さて、私の「陽性」の顔ぶれです。
| 項目 | クラス | ひとこと |
|---|---|---|
| スギ | 6 | カンスト。春の犯人は、あなたでしたか |
| コナヒョウヒダニ | 4 | 強陽性。布団とカーペットに住む |
| ハウスダスト | 3 | 正体はほぼダニ。定番のセット |
| オオアワガエリ | 2 | イネ科花粉。土手や河川敷に多い |
| カモガヤ | 2 | 同じくイネ科。5〜7月が本番 |
| ミルク | 2 | ※後述します。ここ大事 |
| オボムコイド(卵白の成分) | 2 | ※同上 |
| 卵白 | 2 | ※同上 |
| カンジダ | 2 | 常在菌。よくある所見 |
スギ・ダニ・イネ科の組み合わせは、日本人のアレルギー性鼻炎の、いわば王道パターン。我ながら、教科書に載っていそうな結果です。
意外だったのは、ヒノキがクラス1(ほぼ陰性)だったこと。スギとヒノキはセットで陽性になる人が多いんですが、私の体はスギだけをきっちり敵認定しているようです。……敵を選ぶセンスよ。
ちなみに動物では、ネコ皮屑がクラス1(ごく弱い反応)で、イヌは陰性でした。クラス1は「陽性」と言い切るには弱い、いわば境界あたり。こういう微妙な子もいるんだなあと、自分の用紙で改めて実感しました。
「卵と牛乳が陽性」でも、慌てて除去しないで
ここからが、検査技師として、今日いちばん伝えたいところです。
私の結果では、ミルクと卵白がクラス2の「陽性」でした。でも私は、ヨーグルトもソフトクリームも食べるし、卵焼きを愛しているし、何の症状もなく元気に暮らしています。
「検査で陽性」と「食物アレルギーがある」は、イコールではありません。
検査でわかるのは「IgE抗体を持っている」という事実(むずかしい言葉で“感作”といいます)だけ。実際にアレルギー症状が出るかどうかは、また別の話なんです。とくに食べ物では、陽性でも問題なく食べられる人が、本当にたくさんいます。
IgE抗体を持っているだけの状態を感作、実際に症状が出ることを発症といいます。感作しているからといって、必ず発症するわけではありません。私の卵白とミルクがまさにそれで、クラス2の「陽性」でも、何も起きずに食べています。逆に、食べると症状が出るのに、検査は陰性ということもあります。だから検査の数字だけでは、アレルギーがあるとは決められないのです。
だから、検査結果の数字だけを見て、自己判断で食事から卵や牛乳を抜いてしまう——これは、おすすめできません。食べて症状がないのなら、基本的にはそのままで大丈夫とされています。逆に、食べると症状が出るのに検査は陰性、ということだってあるんです。
アレルギーの診断は、数値と症状を合わせて、お医者さんが判断するもの。気になる症状がある方は、どうか自己判断せず、医療機関で相談してくださいね。
検査の数字は、便利だけど、万能ではない。毎日その数字を扱っている人間だからこそ、これは声を大にして言いたいのです。
費用は?どこで受けられる?
私が窓口で払ったのは、5,000円ほどでした。思っていたより高い、というのが実感です。
検査そのものの保険点数は1,430点。何項目調べてもこれが上限なので、3割負担で約4,300円。そこに診察料などが加わって、5,000円前後というのが相場のようです(2026年時点。診療報酬は改定で変わります)。
保険が使えるのは、アレルギーの症状があって、医師が検査を必要と判断した場合です。症状がないのに念のため調べたい、という場合は自費になり、1万円を超えることもあります。血液検査で好酸球(白血球の一種で、アレルギーがあると増えることがあります)が高いと分かったことが、検査に進むきっかけになる場合もあります。
受けられるのは、アレルギー科・耳鼻咽喉科・皮膚科・内科など。採血は1回で終わります。結果が出るまでは、検査会社の案内では4〜6日。次の受診で聞く、という流れが一般的です。
クラス6のスギと、これからどう付き合うか
とはいえ、スギのクラス6は、放っておくにはなかなか手強い相手です。私が考えている(というか、もうやっている)対策は、このあたり。
まずはダニ・ハウスダスト対策。これは寝具から。 我が家で実際にやっているのは、この3つです。
- 防ダニシーツ … ダニを布団の中に入れない・出さないための、いちばんの基本
- 布団専用の掃除機(布団クリーナー) … 寝具のダニやフンを吸い取る用。週末のルーティンです
- ロボット掃除機(ルンバ) … 床のホコリは毎日ルンバにおまかせ。サボりがちな私には本当にありがたい相棒
我が家の相棒たち。布団クリーナー(赤)と、年季の入ったルンバ。
どちらも古い型ですが、現役でがんばってくれています
クラス4のダニは一年中そこにいるので、実は花粉より、生活改善の効果が出やすい相手なんです。特別なことはしていません。でも、こうして道具に任せられるところは任せて、コツコツ続けると、ちゃんと体が楽になります。
イネ科花粉(5〜7月)は、ハイキング好きには、ちょっと切ない結果でした。 カモガヤもオオアワガエリも、山道や土手にごくふつうに生えている草。シーズン中の山歩きは、マスクと服装でしっかり防御です。
そしてスギ。 これには「舌下免疫療法」という選択肢もあります。毎日ほんの少量のアレルゲンを舌の下に入れて、体を少しずつ慣らしていく治療です。スギとダニはこの治療の対象になっていて、数年がかりですが、根本的な改善が期待できるのだそう。私の年齢から始めるべきかどうかは……正直、まだ迷っています。興味のある方は、アレルギー科のある医療機関で相談してみてください。
数字になって、ちょっとだけ、すっきりした
毎年、春になると不調になる。長年「そういうものだ」と思って、ただ耐えてきました。
それが今回、「クラス6」という、はっきりした数字になった。原因が名前と数字を持つと、不思議と、気持ちが少し軽くなるものですね。「私が弱いんじゃなくて、スギが強すぎるんだ」と、堂々と言えるようになったというか。
検査をする側として、これまで何万件と数字を見てきました。でも、自分の数字を見るのは、やっぱり別物でした。一枚の結果用紙の向こうには、こういう「二度見」や「妙な納得」があるんだなあと、今さらながら、しみじみ思った次第です。
舌下免疫療法、始めるかどうかは……来年の春のつらさ次第かな。たぶんまた「今年こそ考えよう」と思いながら、ティッシュの箱を抱えている気がします。毎年それなんですけどね。
検査技師でも、自分の体は思いどおりにならない。ぎっくり腰でやられた話のときも、つくづくそう思いました。数字を読むのは得意でも、体は別腹、ということで。
健康・検査の話は、ほかにも書いています。よかったら コレステロールの話 や 血糖値の話 ものぞいてみてください。
毎年「今年こそ」と思って、そのままにしていることが、私にはいくつもあります。(続かなかったものたちと、それでも)
※本記事は、個人の検査結果と一般的な情報の紹介であり、診断や治療方針を示すものではありません。アレルギーの診断・治療については、必ず医師にご相談ください。

おひとりさま検査技師
臨床検査技師として病院に30年。生理検査全般を担当、とくに超音波検査(おもに心エコー)。地方在住・50代・おひとりさま。 検査室から見えることと、暮らしのことを書いています。詳しいプロフィール


