2026年9月
健康・検査のこと「心雑音がある」と言われたら|心配いらない雑音と、心エコーで見ていること
・心雑音とは、心臓の中の血液の流れが乱れたときなどに、聴診器で聞こえる音のことです。
・心雑音には、心臓に病気がなくても聞こえる機能性(無害性)の心雑音と、弁などに原因がある器質性の心雑音があります。
・心エコーで調べて、何もなかったということも、よくあります。
・動いたときの息切れ、動悸、胸の痛み、めまい、足のむくみなどがある方は、一度は心エコーを受けておくと安心です。
診察のとき、聴診器をあてられて、「心雑音がありますね。一度、心臓のエコーを受けてください」。そう言われて、心エコーに来られる方がいます。
若い方から年配の方まで、年代は意外と幅広いです。そして、自分で雑音に気づいている方は、意外と少ないです。言われて初めて知り、不安な気持ちで検査を待つ方も多いと思います。
私はふだん、心エコー(心臓の超音波検査)を担当しています。この記事では、心雑音とは何か、心エコーで何を見ているのかを、実際の画像を使ってお話しします。
心雑音とは|2つのタイプがあります
心臓の中では、血液が弁を通って、決まった向きに流れています。心臓には、4つの弁があります。
- 大動脈弁 … 左心室と大動脈の間の弁
- 僧帽弁 … 左心房と左心室の間の弁
- 三尖弁 … 右心房と右心室の間の弁
- 肺動脈弁 … 右心室と肺動脈の間の弁
弁のまわりなどで血液の流れが乱れると、聴診器で音が聞こえることがあります。これが心雑音です。
心雑音には、大きく2つのタイプがあります。
- 機能性(無害性)の心雑音 … 心臓に病気がなくても聞こえるもの
- 器質性の心雑音 … 弁など、心臓そのものに原因があるもの
聴診器だけでは、どちらなのかを決めきれないことがあります。そこで、心エコーで心臓の中を見て確かめます。
心エコーでわかることが多い原因
心雑音で心エコーを受けた方にわかることが多いのは、次のようなものです。
- 弁の逆流 … 閉じているはずの弁から、血液が逆向きに漏れている
- 弁が狭くなっている … 弁が石灰化して硬くなり、開きにくくなっている
- 体型 … やせ型の方や、胸の形によって、心臓に病気がなくても雑音が聞こえることがある
心エコーで調べて、何もなかったということも、よくあります。年代によることも多く、とくに若いやせ型の方は、何もないことが多いです。
一方で、「息が苦しい」「動くと苦しい」などの症状を言われたときは、とくに気をつけて見ています。
心エコーで見ていること|色で見る、血液の流れ
心エコーでは、心臓の形や動きに加えて、血液の流れを色で表示して見ることができます(カラードプラ)。
一般的な設定では、プローブ(体に当てる器具)に近づく流れが赤、遠ざかる流れが青で表示されます。色の見え方は、機械や設定によって違います。
逆流があるところでは、速く乱れた流れになるため、赤や青に黄色や緑がまじった「モザイク状」の色に見えることがあります。
▲ 左が大動脈弁の逆流、右が僧帽弁の逆流。矢印のところの、黄色や緑がまじったモザイク状の部分が、逆流による血液の乱れを示しています。
▲ 僧帽弁の逆流を、向きを変えて見たところ。白い矢印の先が逆流です。
弁そのものの形や動きも見ます。下の画像は、弁を輪切りにして見たところです。石灰化していないか、きちんと開いたり閉じたりしているかを確かめます。
▲ 左が大動脈弁、右が僧帽弁の輪切り。
検査技師の私にも、軽い逆流があります。
軽度の僧帽弁の逆流は、正常範囲内のものが、意外と多く見られます。右心系の弁(三尖弁と肺動脈弁)の逆流も、多くない範囲であれば、わりとよく見られます。「逆流がある」と言われても、それだけで病気というわけではありません。どのくらいの量なのかが大切です。
心臓以外の検査で、わかることも
心雑音の原因は、心エコー以外の検査で手がかりが見つかることもあります。
- 心電図 … 大動脈弁の逆流などでは、心電図に変化が出ることもあります(心電図の電極、なぜ10個も?)
- 首やお腹の血管のエコー … 頸動脈や、お腹の大動脈の血液の流れ方から、わかることがあります(頸動脈エコーのプラーク、見方と意味)
首やお腹の血管は、心臓から送り出された血液が流れる、ひとつながりの通り道です。たとえば、大動脈弁の逆流が多いと、送り出された血液の一部が心臓へ戻るため、お腹の大動脈でも、血液が逆向きに流れる様子が見えることがあります。心エコーのときに、みぞおちからお腹の大動脈を見ているのも、そのためです(心エコーで、なぜ左を下にして寝るの?)。
よく聞かれること|「手術になりますか?」
前回、逆流などを指摘されて、もう一度検査に来られた方からは、よくこう聞かれます。
- 「手術になりますか?」
- 「(逆流は)増えていますか?」
気になるお気持ちは、よくわかります。ただ、検査技師からは、結果をお伝えできません。結果は、医師から説明があります。検査の結果を受けて、医師がこれからのことを判断します。
症状がある方は、一度は心エコーを
次のような症状がある方には、一度は心エコー(心臓の超音波検査)も受けておくことを、おすすめしています。
- 動いたときの息切れ
- 動悸
- 胸の痛みや、胸の圧迫感
- めまいや、失神
- 足のむくみ
- 疲れやすさ
● 心雑音を指摘された → 医師にすすめられた検査を受けましょう
● 上のような症状が続く → 心雑音を言われていなくても、一度相談を
● 胸の痛みが続く、気を失った → 早めに受診を
心雑音と言われたら、まず検査を
心雑音と言われても、何もなかったということは、よくあります。自分では気づいていなかった雑音を、見つけてもらえたとも言えます。
検査の日まで、不安で落ち着かない夜もあるかもしれません。そんなときの過ごし方は、眠れない夜の、ふわっと力を抜く練習に書きました。
生理検査のまとめ → 生理検査ってなに?|心電図・エコー・肺活量の案内
心エコーを受ける前に → 心エコーで、なぜ左を下にして寝るの?
健診で引っかかったら → 健診で「要再検査」と言われたら
※この記事の画像は、患者さんのものではありません。この記事は、検査技師としての経験と一般的な知識をまとめたものです。診断・治療は、必ず医療機関でご相談ください。

おひとりさま検査技師
臨床検査技師として病院に30年。生理検査全般を担当、とくに超音波検査(おもに心エコー)。地方在住・50代・おひとりさま。 検査室から見えることと、暮らしのことを書いています。詳しいプロフィール


