2026年9月
健康・検査のことeGFRが60を下回った年|私の3年分の数字と、腎臓のエコーで見ていること
・eGFRは、血液のクレアチニンから計算した、腎臓のはたらきの推定の値です。
・クレアチニンは筋肉の量に影響されます。同じ腎臓のはたらきでも、人によって値が違います。
・私自身、eGFRが60を下回った年があります。翌年には戻りました。
・腎臓のエコーでは、大きさ・形・のう胞・石・腫瘤を見ています。
・小さい石は意外と多く、症状のない方もたくさんいます。
健診の結果の紙に、「eGFR」という項目があります。腎臓のはたらきを表す数字です。60を下回ると、印が付くことが多いところです。
実は私自身、eGFRが60を下回った年があります。この記事では、私の3年分の数字をお見せしながら、その数字がどういうものなのか、そして腎臓のエコーで何を見ているのかをお話しします。
eGFRとは|「もし全部ろ過されたら」で計算した推定の値
腎臓には、血液をこし取る糸球体という細かい装置があります。そのこし取る力を表すのがGFRです。
でも、本当のGFRを測るのは大変です。そこで健診では、血液のクレアチニン(Cr)の値から計算した推定の値を使います。これがeGFRです。「血液のクレアチニンが、すべて糸球体でろ過されると仮定したときの値」という考え方で計算されています。
つまり、eGFRは実測ではなく、推定です。ここが大事なところです。
クレアチニンは、筋肉の量で変わります
クレアチニンは、体の中で筋肉から作られます。ですから、筋肉の量が多い人ほど、値が高くなりやすいのです。
- 腎臓のはたらきが同じくらいでも、クレアチニンの値には個人差があります
- 性別、年齢、栄養状態によっても変わります
- 若い方は、クレアチニンが高めの傾向があります
- 反対に、筋肉の量が少ない高齢の方は、腎臓のはたらきが落ちていても、クレアチニンがそれほど高い値を示さないことがあります
だから、クレアチニンやeGFRの数字は、1回の値だけで決めつけないことが大切です。
私の3年分の数字|下がった年と、戻った年
私自身の健診の結果です。左から古い順に、3年分が並んでいます。
▲ 私の健診結果。真ん中の年だけ、eGFRが59.1でC判定でした。
- 1年目:クレアチニン0.70/eGFR 67.1(A)
- 2年目:クレアチニン0.79/eGFR 59.1(C)
- 3年目:クレアチニン0.70/eGFR 67.8(A)
真ん中の年だけ、60を下回りました。クレアチニンで見ると、0.70から0.79へ、0.09だけ上がった年です。この小さな差で、判定の印が変わります。
そして、翌年には戻りました。下がった年があっても、次の年に戻ることはあります。
更年期のせいかな、と思ったこともあります
50代の私は、「更年期でエストロゲンが減ったことと、関係があるのだろうか」と考えたこともあります。
調べてみると、閉経後はエストロゲンが減り、血圧や脂質の変化を通じて、腎臓に負担がかかりやすくなるといわれています。また、40代以降は誰でも、1年に0.5〜1くらいずつ、ゆるやかにeGFRが下がっていくとされています。
ただ、私の1回の変化を「更年期のせい」と決めつけることはできません。体の水分の状態や、そのときの体調でも、数字は動きます。翌年には戻っていますから、なおさらです。
大事なのは、原因を言い当てることではなく、次の年も測って、流れを見ることだと思っています。
腎臓のエコーで、見ていること
血液の数字とは別に、エコーでは腎臓の形そのものを見ています。見ているのは、次のところです。
- 大きさ
- 形と、表面のなめらかさ(凹凸がないか)
- のう胞(水がたまった袋。健診でよく見つかります)
- 石
- 腫瘤(できもの)
▲ 左が右の腎臓、右が左の腎臓です。外側の黒っぽいところが腎皮質、中心の白いところが中心エコー域です。
腎臓の大きさは、体格によります。背の高い方は大きく、小柄な方は小さい傾向があります。だから、「何センチだから異常」と決まるものではありません。ただ、腫れている(腫大)、縮んでいる(萎縮)と感じたときには、大きさを測っておきます。その数字を、血液のデータを見るときの参考にすることがあります。
腎臓は左右に2つあります。左の腎臓は、右よりもやや大きく、位置も右より少し上にあります。右の腎臓の上には肝臓があるためです。検査のとき、左右で見え方が違うのは、こうした体のつくりの違いもあります。
腎臓の石は、こう見えます
石は、エコーで白く光って見えます。そして、その後ろが影のように暗くなります。石が超音波をはね返して、その先へ届かなくなるためです。
下の画像では、左に石が2つ、右に30mmほどの大きな石が写っています。どちらも、石の後ろに黒い影が伸びています。
▲ 白く光っているのが石です。その下に、黒い影が伸びています。
小さい石は、意外とよく見つかります。そして、症状のない方もたくさんいます。健診のエコーで見つかって、初めて知る方も少なくありません。
エコーでも石は見えますが、小さい石や、場所によっては写りにくいことがあります。石をくわしく調べるときは、CT検査のほうが得意です。エコーで「石はなさそう」でも、それだけで「ない」と言い切れるわけではありません。症状が続くときは、医師に相談してください。
腎臓のエコーが「痛い」と言われやすい理由
腎臓は、背中側にあります。あお向けのままだと、横からプローブを押し込むようにして見ることになります。そのため、「痛い」と言われやすい検査です。
見えにくいときや、つらそうなときは、横向き(側臥位)になってもらいます。体の向きを変えると、ぐっと見やすくなることがあります。
お腹のエコーで押される理由は、お腹のエコーで、なぜ押されるの?にも書きました。痛いときは、遠慮なく言ってください。
そして、腰の痛みがある方、健診で尿潜血を指摘された方は、そのことを頭の隅に置きながら見ています(健診で尿潜血と言われたら)。
検査の数字は、つながっています
腎臓の話をするとき、私はeGFRだけを見ているわけではありません。
- 電解質(ナトリウムやカリウムなど)の異常
- 貧血(腎臓は、血液を作る指令にも関わっています)
こうした数字も、あわせて気にしています。健診の結果は、1つずつ切り離して見るより、つながりで読むほうが、体の様子が見えてきます(50代女性の健診、数値は「つながって」読む、氷をガリガリ食べたくなる、その疲れは貧血かも)。
腎臓は、赤血球を作るように指令を出すホルモン(エリスロポエチン)も出しています。ですから、腎臓のはたらきが落ちると、貧血になることがあります。また、体のカリウムなどの量を調整するのも、腎臓の仕事です。健診の数字がつながって見えるのは、こうした役割があるからです。
● eGFRが60を下回った → 慌てず、まず翌年の数字と見比べて。医師に指示されたときは受診を
● 下がり続けている、尿たんぱくも出ている → 早めに相談を
● 背中や脇腹の強い痛み、血尿、熱 → 早めに受診を
数字だけを見て、こわがりすぎないでください
eGFRは、便利な数字です。でも、あくまで推定の値です。筋肉の量や、その日の体調でも動きます。
1回の数字で落ち込まず、次の年の数字と並べて見ること。気になるときは、エコーで形も見てもらうこと。その2つで、ずいぶん安心できます。
検査技師の私も、Cの印がついた年には、少しどきっとしました。そのうえで、翌年の数字を見て、ほっとしました。同じように、紙を見てどきっとした方に、この記事が届いたらうれしいです。
健診の結果の読み方 → 健診結果の紙、上から順に全部説明します
尿の検査で見ていること → ティッシュで隠して渡す、あのコップ
検査のまとめ → 生理検査ってなに?
※この記事の画像は、患者さんのものではありません。この記事は、検査技師としての経験と一般的な知識をまとめたものです。診断・治療は、必ず医療機関でご相談ください。

おひとりさま検査技師
臨床検査技師として病院に30年。生理検査全般を担当、とくに超音波検査(おもに心エコー)。地方在住・50代・おひとりさま。 検査室から見えることと、暮らしのことを書いています。詳しいプロフィール


