2026年9月
健康・検査のことFIB-4 indexの計算方法|健診結果の4つの数字で、肝臓の硬さを見当づける
健診で「脂肪肝ですね」と言われて、そのあと何も言われずに帰ってきた。自分はどのくらい進んでいるのか、分からないままでいる。
そういう方に向けて書きます。
実は、手元の健診結果の紙にある4つの数字だけで、目安を出せます。新しく検査を受ける必要はありません。
かかるのは1分ほど。電卓も要りません。この記事の中で計算できるようにしました。
▲ 健診の紙にある4つの数字だけで、目安が出せます。
先に、結論から
・健診の紙の4つの数字で、1分で計算できます。電卓も要りません
・FIB-4が見ているのは脂肪の量ではなく、肝臓の硬さのほうです
・高く出ても診断ではありません。くわしく調べる人を選ぶための道具です
必要なのは、この4つだけです。
- 年齢
- AST(GOTと書かれていることもあります)
- ALT(GPT)
- 血小板数
計算式は、こうです。
血小板数は「万」の単位(×10⁴/μL)で入れます。健診の紙に「25.0万」と書いてあれば、25.0です。
下に計算フォームを置きました。数字を入れると、その場で出ます。
FIB-4 indexを計算する
健診の紙が「25.0万」なら 万/μL、「250」なら ×10³/μL です。
4つの数字を、0より大きい数で入れてください。そろったところで、その場で計算します。
- ・この数値は診断ではありません。結果の解釈は必ず医師にご相談ください。
- ・入力した数値は、どこにも送信・保存されません。
※血小板の欄は、紙の書き方に合わせて単位を選んでください。「25.0」のような2桁なら万/μL、「250」のような3桁なら×10³/μLです。ここを間違えると、答えが10倍ずれます。
この数値が見ているのは、脂肪ではありません
ここが、いちばん大事なところです。
FIB-4 indexが見ているのは、肝臓にどれだけ脂肪がたまっているかではありません。肝臓がどれだけ硬くなっているか、つまり線維化のほうです。
前の記事で、脂肪肝が進むと肝臓の細胞が線維に置き換わっていく、という話を書きました。そして困ったことに、その段階に入ると、超音波の画面もALTの数値も、かえって落ち着いて見えることがあります。(脂肪肝は、超音波でこう見えています)
脂肪の量を見ている物差しでは、そこを追えません。だから、別の物差しが要るのです。
脂肪肝と言われた方が次に気にするといいのは、脂肪がどれだけあるかより、硬くなり始めていないかどうか。FIB-4 indexは、そこに見当をつけるための数字です。
判定の目安
出た数字は、こう見ます。
| 年齢 | 低値 | 中間 | 高値 |
|---|---|---|---|
| 65歳未満 | 1.3未満 | 1.3〜2.67 | 2.67以上 |
| 65歳以上 | 2.0未満 | 2.0〜2.67 | 2.67以上 |
たとえば、55歳・AST 28・ALT 32・血小板 25.0万の方なら、FIB-4 indexは1.09。65歳未満の低値にあたります。上のフォームに同じ数字を入れると、この答えが出ます。自分の紙で計算する前に、一度たしかめてみてください。
65歳以上で線が変わるのには、理由があります。この計算式には年齢が掛け算で入っているので、年を重ねるだけで数字が上がるのです。1.3のままだと、線維化のない方まで引っかかってしまう。それで、高齢の方では2.0を低値の線として扱うことがすすめられています。
そして、ここははっきり書いておきます。FIB-4 indexは診断ではありません。くわしく調べる人を選び出すための、振り分けの道具です。高く出たから病気、低く出たから安心、というものではないのです。
「だいたい」で見ていたところに、数字が入りました
ここからは、判定する側の話をさせてください。
超音波で脂肪肝の程度を判定するとき、そこにはどうしても、人の見立てが入ります。軽度なのか中等度なのか。隣の腎臓とどれくらい差があれば中等度と呼ぶのか。決まりはありますが、最後は画面を見ている人が決めます。
だから、同じ方を見ていても、判定する人が違えば結果が変わることがあります。同じ人が去年と今年で違う判定をつけることさえあります。それは怠けているからではなく、そういう性質の検査だからです。
ただし、揺れるのは程度のほうです。脂肪肝があるかないかの判定は、ほとんど揺れません。この揺れがどこから来るのかは、去年は軽度、今年は中等度にくわしく書きました。
そこに、計算で出る数字がひとつ加わった。
これは、思っていたより大きいことでした。見立てで「だいたいこのくらい」と言っていた場所に、誰が計算しても同じ答えが出る数字が置かれたのです。私の判定が甘かったのか厳しかったのかを、あとから確かめる手がかりにもなります。
しかも、この計算に特別な機械は要りません。AST、ALT、血小板数は、たいていの健診でもう測られています。新しい装置を買わなくても、明日から使える。だから広がるのだと思います。
検査の世界では、機械が新しくなることで前に進むことが多いのですが、たまにこういうものが出てきます。すでに手元にある数字を、別の角度から見ただけ。それで一段先が見えるようになる。こういうのが、私はいちばん好きです。
つまずきやすいところ
いちばん多いのが、血小板の単位です。
「25万/μL」を25と入れるか、250と入れるか。ここを間違えると、答えが10倍ずれます。1.2と出るはずのところが12になってしまう。
見分け方は、桁です。
- 紙に「25.0」「24.3」のように2桁で書いてあれば、万/μL(×10⁴)
- 「250」「243」のように3桁で書いてあれば、×10³/μL
上の計算フォームでは、どちらの書き方でも選べるようにしてあります。ご自分の紙を見て、合うほうを選んでください。
紙に血小板が載っていないことがあります。これは、測っていないという意味とは限りません。血液の細胞を数える検査(血算)をしていれば、血小板もいっしょに数えられています。ただ、結果票にどの項目まで印字するかは健診によって違うので、測ってはいるけれど、紙には出ていないということが起こります。見当たらないときは、受けた健診機関やかかりつけで聞いてみてください。
高齢の方と、お酒を多く飲む方は、高めに出ます。年齢が式に入っていることは、さきほど書きました。お酒のほうは、ASTが上がりやすいためです。ASTは式の上に乗っている数字なので、そのぶん結果が押し上げられます。線維化がなくても高く出ることがある、と知っておいてください。
ALTが正常でも、FIB-4が高いことがあります。これは前の記事に書いたとおりで、進行するとALTはむしろ下がってくるからです。「肝機能は正常でした」と言われた方こそ、一度この計算をしてみる値打ちがあります。
数値が高かったときに、次に何があるか
高値だった場合、次の段階では、肝臓の硬さを直接測る検査があります。
超音波を使って肝臓のかたさを測るエラストグラフィーという方法で、痛みはなく、その場で数値が出ます。針を刺して組織を採る検査の前に、まずこちらで確かめる、という流れが一般的です。
ただ、どこまで調べるか、いつ調べるかを決めるのは医師です。私が書けるのは、そういう検査があるというところまで。数字を持って相談に行けば、話が早くなります。
やらなくていいこと
一度の値で決めつけないでください。血小板もASTもALTも、その日の体調で動きます。一度きりの数字より、去年と今年を並べたほうが、ずっと多くを語ってくれます。
低いから脂肪肝ではない、とも考えないでください。これは硬さの物差しであって、脂肪の物差しではありません。FIB-4が低くても脂肪肝はありますし、その脂肪肝に手を打つ意味は変わりません。
まとめ
- FIB-4 indexは、年齢・AST・ALT・血小板数の4つで出せます
- 計算式は「AST × 年齢 ÷(血小板数 × 10 × √ALT)」
- 見ているのは脂肪の量ではなく、肝臓の硬さ
- 低値の線は、65歳未満で1.3、65歳以上では2.0。2.67以上が高値
- ただし診断ではありません。くわしく調べる人を選ぶための道具です
- 血小板の単位を間違えると、答えが10倍ずれます
脂肪肝そのものが超音波でどう見えているかは、脂肪肝は、超音波でこう見えていますに書きました。あわせて読んでいただけたら、うれしいです。
※この記事は、検査技師としての一般的な知識と公開資料をまとめたものです。FIB-4 indexは診断を目的としたものではなく、基準の扱いは施設や状況によって異なります。気になる数値は、必ず医療機関でご相談ください。

おひとりさま検査技師
臨床検査技師として病院に30年。生理検査全般を担当、とくに超音波検査(おもに心エコー)。地方在住・50代・おひとりさま。 検査室から見えることと、暮らしのことを書いています。詳しいプロフィール


